性的少数者が誇りをもって暮らせる地元にしたい――。
そんな思いで、2014年、たった3人で始めた「青森レインボーパレード」。発起人の一人で、青森市出身の宇佐美翔子さん(享年53)が21年に病で亡くなった後も、その志は地元の性的少数者たちに受け継がれている。
10回目になる今年のパレードは、25日に開催される。テーマは「まだ、黙らない」だ。
「故郷を荒らすな」「目立つことをしたいなら東京に行け」
宇佐美さんのパートナーの岡田実穂さん(38)は、パレード開催にあたり周りから言われた言葉を思い出す。
性的少数者の一部からは「せっかく静かに暮らしていたのに」と反発もされた。
14年4月、1回目のパレードの日は強風が吹いていた。「日本語で書いたら何を言われるか分からない」と考え、英語で「エイズ問題はまだ終わっていない」などと書いたプラカードを掲げて歩いた。道行く人たちは好奇の目でジロジロと見つめ、やじが飛んだ。
3人は恐怖の中、プラカードが風で飛ばないよう早足で歩いた。
信号待ちをしているとき、隣にいた子どもが3人をみて、母親に「これ何?」ときいた。「見ちゃダメ」。母親は慌てて子どもに言い聞かせていた。
それでも「私たちには『黙っている』というメンタリティーはなかった」。
誰もが安心できる居場所を――。1回目のパレードと同じ日に、2人はJR青森駅近くにカフェバーを開店。同年6月には青森市役所に婚姻届を提出し、不受理の理由を示すよう求めた。
増える参加者、首長の応援も
毎年、パレードの準備の時期…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル